弊社は2023年4月1日より、J-Power(電源開発株式会社)グループのJ-Powerジェネレーションサービス株式会社の総発売元をしています。
フライアッシュとは
火力発電所で石炭を燃やした際に電気集塵器によって集められた粒子状の灰のことを「フライアッシュ」といいます。
フライアッシュは、その化学的・物理的性質を活かし、コンクリートの混和材など多くの分野で使用されています。
コンクリートの混和材として用いるフライアッシュは、利用目的に応じ4種類の品質がJISに規定されています。
また、現在の石炭火力発電所では、ほとんどが海外炭であり、燃焼する海外炭により発生するフライアッシュの品質や成分が異なります。
弊社では電源開発株式会社・竹原火力発電所のコンクリート用フライアッシュⅡ種品(JIS A 6201)を販売しています。
竹原火力発電所は、2020年、 旧火力発電所に替り最新鋭の技術を導入した新1号機の営業を開始しました。
新1号機は、高効率な超々臨界圧(USC)微粉炭火力となり、CO2排出量を約2割削減でき、木質バイオマス燃料の混焼率は10%を目指した、環境負荷の抑制に貢献する世界有数の火力発電所です。
フライアッシュのコンクリートへの利用は、施工性能の向上、高熱によるひび割れの抑制、耐久性の向上、長期強度の増強、アルカリシリカ反応の抑制などの利点があります。
又、フライアッシュを利用することは、コンクリート性能の向上のみならず、セメント代替によるCO2の削減や骨材の代替え材料としての有効性さらには地球環境保全という点でも大きな利点となります。
JIS規格によるフライアッシュの品質基準
※フライアッシュⅡ種
標準的なフライアッシュで、混入することにより、特にコンクリートの水和発熱抑制、長期強度の改善効果があるもの。また、コンクリートへの流動性付与、アルカリシリカ反応抑制について、無混入の場合と比較して十分に効果が発揮されるもの。
項目 | フライアッシュI種 | フライアッシュII種 | フライアッシュIII種 | フライアッシュIV種 | |
---|---|---|---|---|---|
二酸化けい素 % | 45.0以上 | ||||
湿分 % | 1.0以下 | ||||
強熱減量(1) % | 3.0以下 | 5.0以下 | 8.0以下 | 5.0以下 | |
密度 g/m3 | 1.95以上 | ||||
粉末度(2) | 45㎛ふるい残分(網ふるい方法)(3) | 10以下 | 40以下 | 40以下 | 70以下 |
比表面積(ブレーン方法)cm2/g | 5000以上 | 2500以上 | 2500以上 | 1500以上 | |
フロー値比 % | 105以上 | 95以上 | 85以上 | 75以上 | |
活性度指数 % | 材齢28日 | 90以上 | 80以上 | 80以上 | 60以上 |
材齢91日 | 100以上 | 90以上 | 90以上 | 70以上 |
物理的性状
- ・平均粒径は10~30㎛程度
- ・粒径は球形、不定形のものが混在
化学的性質
- ・シリカ、アルミナが70~80%を占める
- ・他の成分は、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムなど
ポゾラン特性物理的性状
- ・フライアッシュの主成分であるシリカやアルミナは、セメントの水和によって生成される水酸化カルシウムとカルシウムシリケート水和物を生成。この反応をポゾラン反応と呼び、セメント・コンクリートの耐久性、水密性を高める働きをする。
フライアッシュコンクリートのメリット
コンクリートにフライアッシュを使用すると、「長期強度の増進」「乾燥収縮や水和熱等の減少」「水密性の向上」等、多くの有利性を発揮します。フライアッシュを使用したコンクリートの特長について、弊社で取り扱っているⅡ種を例に示すと次のとおりです。
長期強度の増進
- セメントにフライアッシュを混合した場合、ポゾラン反応が長期間継続するため、セメントだけの場合よりも長期強度が増進し、耐久性に富んだ構造物となる。
また、養生温度を少し高くした場合の強度は、フライアッシュを用いると著しく増進し、ポゾラン特有の効果がより発揮される。したがってセメントの使用量の節減をはかることができる。
乾燥収縮の減少
- フライアッシュのセメント代替率が増加するほど、セメント量の減少により、硬化後の収縮率が小さくなり、ひび割れ現象が起こりにくく堅牢な構造物となる。また建物の上塗用としてもその特長を発揮する。
アルカリシリカ反応の抑制
- フライアッシュは、ひび割れの原因となるアルカリシリカ反応を抑制する性質がある。
水和熱の減少
- セメントにフライアッシュを混合すると、コンクリートの水和熱が減少。温度上昇は代替率が増加するほど減少するので、マスコンクリート工事、特にダム工事や原子炉格納容器等には極めて有効。
マスコンクリートの場合は、フライアッシュを用いないものに比べ、7日材令で6℃程度温度上昇が抑えられる。
水密性の向上
- セメントにフライアッシュを混合すると、セメント中の遊離石灰とフライアッシュのシリカやアルミナとが結合し、不溶性の固い物質を作り、コンクリートの組織を緻密にしてその水密性を高める。
また、日時の経過とともに著しく効果を発揮するため、地中工事を始めあらゆる接水工事に有効。
化学抵抗性の向上
- セメントにフライアッシュを混合すると、ポゾラン反応の際に生成されるけい酸カルシウム水和物が組織を緻密にするとともに、反応によって遊離した不安定な水酸化カルシウムがフライアッシュの成分と結合。硫酸塩、海水、薬液等に対して顕著な効果を発揮する。
ワーカビリティーの向上および単位水量の減少
- フライアッシュは微細な球形をしているため、これを混和すると流動性が著しく改善されるので、コンクリートの打設が効率的に行われ、填隙性がよくなり、仕上り面が滑らかで美しくなる。また同一スランプを得るための所要水量は、フライアッシュの代替率に比例して減少する。
この性質を利用して高流動コンクリートなどにも用いられている。
※ワーカビリティー:まだ固まらないモルタルやコンクリートの、おもに作業性の程度を指す。
石炭灰の主要用途内訳
温室効果ガスの削減
セメントは、石灰石(炭酸カルシウムCaCO3)等原材料を1450℃程度で焼成後粉砕し製造され輸送され利用されます。この焼成・粉砕・輸送に要する燃料等から発生するCO2と、焼成の際に石灰石から発生する脱炭酸分CO2と合わせ、セメント1tを使用する際には約760kgのCO2が発生します。
一方、フライアッシュは副産物であることから製造に関わるCO2は非常に少なく、主に輸送の際に発生するCO2を考慮することになり、フライアッシュ1tを使用する際に発生するCO2は約20kgと、セメントに比べ排出量が非常に少量です。
このため、フライアッシュをセメント混合材やコンクリート混和材として使用し、セメント使用量を低減すると、より少ないCO2排出量でコンクリートを製造することが出来ます。
例として、同じ配合でコンクリートを製造する場合、フライアッシュセメントB種を使用することによって、普通セメントを使用した場合に比べCO2排出量を約20%低減することが出来ます。このように、フライアッシュのコンクリートへの利用は環境面で優れています。
セメントのインベントリデータ(CO2排出量)
セメント種類 | CO2排出量(kg-CO2/t) |
---|---|
普通セメント | 765.5 |
フライアッシュセメントB種 | 622.8 |
※出典:コンクリート技術シリーズ62 コンクリートの環境負荷評価(その2)公益社団法人土木学会